もう止められないシェアの勢い 変革もたらすビジネス(1)

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もう止められないシェアの勢い 変革もたらすビジネス(1)

2017年07月14日

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 先日日経新聞を読んでいたら、興味深い記事がありました。中国の自転車シェア(共有)サービス大手、摩拝単車(モバイク)が日本に進出するという内容です。モバイクのサービスでは、利用者はスマートフォンのアプリを使って自転車を探し、その自転車に付くQRコードをスマホで読み取り解錠して乗ることができます。目的地で乗り捨てでき、チャットアプリ「微信(WeChat)」などの少額決済機能で支払います。この手軽さが受けているようで、記事によると、設立1年強で中国全土で500万台を展開しているそうです。 創業者の胡●煒(●はたまへんに韋)氏は女性で、中国では「時の人」になっています。モバイクのライバル「ofo」や自動車ライドシェアの滴滴出行なども資金調達を順調に重ね、勢いを増しています。

  こうしたシェアサービスは中国で急速に広がっています。住宅を旅行者に貸す民泊もそうです。中国の民泊大手、途家(トゥージア)が日本の住宅宿泊事業法(民泊法)施行をにらんでやはり日本に進出しました。 


■お菓子の缶までリサイクル

 
 世の流れが「シェア経済」に大きくかじを切っているのは明らかです。あるモノを多数の利用者が共有する「横軸」の性質がシェアリングだとすれば、モノを、時空を超えて共有する「縦軸」の性質を持つのがリサイクルといえます。資源を大事にして共有するという意味では同じです。 

 スウェーデンではリサイクルが当たり前で、人々の熱意も日本人と比べると段違い。同国で過ごす楽しみの一つは、そうしたリサイクルのウェブサイトを眺めることです。ありとあらゆるものが出品されています。子供服、テーブルやイスなどの家具、キッチン向けの家電やテーブルウエア、時計、自転車など定番のアイテムから本当に「こんなもの売れるんだ」と感心する品物があります。タオルやボールペンなど雑貨はまだふつうで、私が驚いたのはお菓子の缶。確かに、すてきなデザインや絵柄のあるクッキーの缶は、捨てられないですよね。

  こうした中古マーケットは、日本で人気のメルカリのようなものでしょうか。出品アイテムを見た人が早い者勝ちで、出品者と連絡を取り、そこですぐ交渉して売買します。私は出品こそしたことはないですが、買うのに利用しています。

  昔の物には、今ではもうつくることのできない、素晴らしい技術がつまっていることがあります。私のお気に入りの服に、着物をワンピースに仕立てたものが数点あります。染める際の技法は、今はもうそれができる職人がほとんどいないと聞きました。スウェーデンの友人は、日本に来ると古い着物を探して買っているそうです。昔の着物の品質は素晴らしく柄も美しいと言って、着物を衣紋掛けのようなハンガーにつるし、リビングの壁に絵を飾るように飾っています。外国人のこうした使い方は面白いですね。 


■資源の有効活用の時代


  シェアやリサイクルのビジネスは今後もっと受け入れられ、活発になるのではないでしょうか。例えば私の知人で、冷蔵庫など電化製品やキッチン用品のリサイクルで上場した人がいます。閉店した飲食店などから品物をもらいうけ、改修してまた店頭やネットに出す。利益率も高いようですし、今後参入が増える分野だと思います。

  古いものの良さや、使い捨てではなく何度も使うことに価値を見いだすトレンドは本格化して、後退することはないでしょう。食料や水、エネルギーなど資源不足に悩まされる時代ですから当然と思います。

  リサイクルに加え、シェアリングビジネスが見事に開花しました。資源を大事にすることは、すでに文化と言ってよく、文化が生まれたところに新たな視点、ビジネスチャンスがどんどん出てくる。そう考えると楽しみです。

  このブログで、私が考える、これから成長が大いに見込める分野やビジネスを取り上げていきたいと思います。


読者からのコメント


昌美さん、50歳代女性
ブログ楽しみにしています。中国でこのようなビジネスがはやるということは、多くの方がスマホを持っていらっしゃるのですね。このことに驚きました。日本も一時期、フリーマーケットがはやりました。住居が狭いがために、次は「断捨離」がはやりました。断捨離物をフリーマーケットで出しても、その手間や時間、僅かな売り上げに嫌気が差して「MOTTAINAI」のですが捨てるようになってしまいました。街のリサイクルショップも消え、ネットへの移行がはやり出した今、トラブルも多く発生しているようで、難しい問題です。捨てた方が気持ちが楽なこともあります。不用品を宅配便で送るシステムを利用したことがありますが、全く売れず、くたびれただけの経験があります(笑)

 堺谷光孝さん、60歳代男性
自転車のライドシェアは、港区でも行政のサービスとしてやっていますが、使用料の設定や乗る場所や返す場所の約束ごとが固定的で、使いづらいですね。シェアビジネスに民間が参入すれば、日本でも爆発的に普及する可能性はある、と思います。中国で成功した鍵は、スマホを利用した手軽さにあったとすれば、日本でも同じでしょう。ただ、日本では駐輪場一つとっても、行政の規制があるので、自由にシェアビジネスを展開できるか、難しさがあるのではないでしょうか。いつも馬さんの斬新な発想には感心します。

 高畑さん、60歳代男性
リサイクルは文化の継承になるし、環境保護にもプラス作用しますね。西洋の家具等は素晴らしい一生物がたくさん あり、興味深いです。

 けいこさん、40歳代女性
中国の自転車のシェアリングビジネスのアイデアに驚きました。便利になりますね!!文化が生まれたところに新たな視点。ビジネスチャンスがどんどん出てくる。新たな視点、ビジネスチャンスについて事例を元に、わかりやすく教えてくださり、ありがとうございます。