2016年01月29日
NHKで朝に放映されている「あさが来た」というドラマを見ています。女性の生き方を扱っているので、とても興味深いのです。主人公のあさは、時代の先端に立って、困難を乗り越え新しいビジネスに乗り出す女性です。起業家精神あふれる彼女が大好きです。
■女性はもうこりごり…
私は経営者ですから、社員のものの考え方に非常に注意を払います。採用時は特に、仕事のスキルよりも、その人の考え方しか見ないといっても過言ではありません。
実は今までに、女性の採用を4~5年、あきらめた期間がありました。 理由は、ちょっとしたことでやめたり、責任を持ちたくないとすぐに言ったりするからです。親が病気で介護があるとか、もっと家から近い職場に通いたいとか。きりがないのです。仕事ができる人だから役職与えようと思っても、肝心なときに引いてしまう。とても優秀なのに、どう説得しようと、なかなか考え方を変えようとしないんです。
「女の敵は女」とよくいわれます。それを地で行くような出来事で、やめてもらわざるを得ないこともありました。会社を設立して間もない、私が副社長を務めていたころです。当時、社長は男性でした。私が中心になって営業活動をしており、取引先や新規顧客の開拓で、社長と一緒にいつも外を飛び回っていました。そのため内勤の事務を任せられる女性を採用したのです。
外から会社へ戻ると、その女性が「お疲れさまです、どうぞ」といってお茶を出してくれます。それが、社長の男性だけに出すわけです。最初の1、2回は気付かなかったのですが、毎回そうだと気づきました。「なぜ私にはお茶がないのかな」とあるとき言ったところ、「え、副社長は女だから自分でいれればよいのでは」。確かに彼女の仕事はお茶出しだけではないけれど、事務という全体の仕事を考えれば、何か考えが欠けています。
こんなこともありました。男性社長がある女性社員に書類作成を依頼したところ、彼女は「できます」、さらに「がんばります」と元気よく請け負いました。私はその場にいて、そのやりとりを見ていました。
1週間くらい報告がなく過ぎました。私もその仕事にかかわっていたため、さすがにしびれを切らしてその女性に「書類、もうできましたか」と聞いたら、あっさり「作っていません」と言うではありませんか。「社長の前だからできないとは言えませんでした」。よくよく聞くと、男性の前だから、いい顔したくて、かわいくしっかり者のように見せたかったそうです。一体、社会人としてどうでしょう。こんな考え方の人と、一緒に仕事はできません。最初の事務の女性にもこの女性にも、明日から来なくていいと伝えました。もういいや、女性はこりごり。そんな気持ちになりました。
女性の採用をやめてから時は流れ、経験豊かな女性がたくさん増えました。会社には、社員の男女のバランスが必要です。女性の力はやはり必要で、仕事のできる女性をみすみす見逃すことはできないと、私自身、考え方を変えました。以降、女性の採用を再開しました。
■会社も生き物、自分で改善を
私が見るところ、一般的に、女性はあまり外に出ておらず、経験が少ない分、考え方が鍛えられていないのではないでしょうか。
例として、最初から、会社に対して完璧なことを求めてくる傾向があるように思います。会社が何かしてくれるべきだ、自分に対して上司はこうすべきだと、仕事をする前からそう強く思っているふうなのです。仕事のやり方でもシステムでも、自分で工夫して良くしようという気概が、男性に比べて弱いように見えます。男性は外でもまれ、経験を積む機会が多いのでしょう。会社や上司に対して、改善点を提案してきます。
時折、女性従業員や、仕事上関係のある女性たちと意見の相違で難しくなるときがあります。そういうときは、こう言います。生きている以上、時と場所によって、あなた個人の人生にいろいろな問題が起きるでしょう。それでも自分で解決すれば徐々に良くなると思いませんか。会社もそうなんですよ。会社も私たちと同じ生き物だから、毎年、起きる問題が違うのです。だから完璧を求めないで、徐々に改善していきませんか――と。
日本は今のままだと、いろいろな仕事場で、人が急速に足りなくなります。外に出て仕事の経験を積んでいる女性は宝物になります。女性の方にしたら、ますます仕事をし、自信と経験を付けたら、よりよい条件の場所にステップアップできるようになります。そういう社会に必ずなります。
自分の力を信じていない女性へ、目を覚まして社会へどんどん出てください。やりたいことは何ですか? もっと考えた方がいい。周りに甘えて生きて良かったと最期に思う、それも一つの生き方ですが、人生は本当に貴重なのです。活動できる時間は有限なのです。自立した考えを持ちましょう。そうなれば、あなたには、年齢に関係なく、この社会のどこかに必ず役割があるはずです。
読者からのコメント
20歳代女性
記事を読み、深く感銘を受けました。これからの社会、家庭に甘えず社会で過ごすことを楽しむ女性が増えて欲しいと願っています。肉体労働が主だった昔と比べ知的労働が増えた今、女性だって働いて行ける社会だと感じています。その点を女性側も理解し、考え、行動しないとこれからの日本は衰退する一方かと危機感を覚えます。まずは単純に自分の知らない世界を知ること、社会で揉まれ辛い思いをし自身の成長を楽しめるような女性が増えて欲しいと願っております。
泉野普久さん、60歳代男性
女性の進出は確実に増えていますが、ゆっくりで、まだ部分的です。実際、日本の女性は伝統的に「家庭志向」があるのかもしれません。つまり社会そのもが長くこの形をなしてきたのです。しかし近代化し国際化を余儀なくされるなかで、仕事をしたいという女性は機会を得てきました。そしてやる気のある人はリーダーの地位を得始めています。教育の平等と資本主義の進展を基盤として。この方向は強さをもっていますし必要にして不可避なものです。ただそれがまだ一部のエリートだけで全体にいたってないのはずばり気質、世界観が未熟なゆえかもしれません。私はやる気のない人、競争力のない人はかまわずに、力のある人をとりたてることで正しいと思います。甘い人に甘い顔では世界で戦えないことを思い知ることから変化が見えてくるのではないでしょうか。ただ能力のある人が妊娠や介護で離脱するのはもっったいない社会の損失と思います。なんとかしたいです。
60歳代男性
29日のブログに賛同します。女性だけでなく男性でも社員としての自覚や考え方が一番大事です。能力はその次でしょう。また日本は少子高齢化が確実で、移民政策を唱える意見がありますが、その前に女性の活躍の場を整備するのが先決です。男女社員に読ませたい内容でした。ありがとうございます。30歳代女性馬さんの記事を興味深く拝読しました。世の女性たちに「甘えないで外に出てみて」というのはもちろんそうなのですが、それに加えて「今私たちが頑張ってみることで、将来、自分の子どもたちの世代が大きくなったときに、きっと今より女性が働きやすい世の中になるはず」 というような点にも言及してもらえればと思いました。 私自身は、両親が共働きだったこともあり、女性でも外に出て仕事をするのは当たり前という認識のもとで育ち、結婚後の今も仕事を続けています。最近思うのは、まだ女性が外で働くことがそれほど一般的ではなかった時代に、それでも働きに出ていた母やその世代の方々のおかげで、まだまだ不十分ではあっても、今の自分たちの働く環境があるのかなと思います。「自分で改善を」との記事もありましたが、身の回りの小さなところから、将来的に大きなところまで、本当にそうだなと思いました。
小倉摯門さん、60歳代男性
この馬節には予て喉につっかえていたものが取れ、溜飲が下がりました。一時期、安倍首相が掲げていた「女性活躍社会」で槍玉に挙げられたのが、男社会でありガラスの天井論であったことに、それはそれで間違いではないんですが、狭浅短さを感じ違和感があったのです。ガラスの天井は資質才能に溢れそれらを駆使して実績を上げている高いレベルの女性たちに障害となるものであって、自分を甘やかし周囲に甘えている多くの女性たちにはその天井は高過ぎて障害じゃあない。然し、世間を見渡せば問題は男性陣にもある。日本の男社会で、経済は二十数年を喪い続け、ここ数年は社会が右側に傾いで崩れが酷い。ボスたる安倍首相が閣僚や重職に登用した女性陣が真摯さはなく歪みが酷い。女性登用は必要条件に過ぎない。決して十分条件ではない。人事は須らくお友達を排し資質能力や健全さで行われなければ、全ての組織が崩れるのが道理です。
70歳代以上男性
私もそんなにたくさんの事例を知っているわけではありませんが、大まかに言って、社会で何かの仕事の経験がある女性は、専業主婦になっても、就業経験のない女性と比べて視点が広く、気のつき方が優れていると思います。私の現役時代と比べて、最近は女性の学歴も高くなり、職に付く女性の比率が高くなっています。社会に出て組織、人を通じて学べることはたくさんあります。また情報もたくさん入ってくるので、好奇心を持ち知見を広めてほしいと思います。学んだことは家庭に入っても子どもの養育等に活きます。ぜひ仕事に流されず、貪欲に学んで下さい。もちろん、このことは男女共通です。